五等分。
五つ子。
五人。
かわいさ500%。
ずっと数字で殴ってくる作品です。
しかもかわいい顔をして。
そこへ来て、今度は春夏秋冬。
四季。
1年。
1月から12月。
数字の置き方が変わった。
『五等分の花嫁』の新作アニメプロジェクトとして、TVアニメ『五等分の花嫁【春夏秋冬】』と新作OVAの制作が発表されました。
この発表、ただ「また五つ子に会える」では済まない。
花嫁が誰なのか。
その大きな問いは、もう一度答え合わせするためのものではない。
でも、答えが出たあとにも残るものがある。
姉妹の時間。
会えなくなる寂しさ。
会う日を決める手つき。
カレンダーに丸をつけるときの、少し乾いた音。
ここに『春夏秋冬』が入ってくる。
PVを見ると、ああ、やっぱり声と色が戻ってくるのだと身体が先に反応する。
一花。
二乃。
三玖。
四葉。
五月。
名前を並べただけで、もう髪の色と声の温度が立ち上がる。
困る。
五人ぶんの記憶が、こっちの中で勝手に席に着く。
「1年間」がかなり曲者です
今回いちばん引っかかるのは、「高校3年の1月から卒業後の12月まで」という幅です。
これ、ただの期間ではない。
受験。
卒業。
進路。
制服の終わり。
それぞれの生活。
言葉を並べるだけで、急に空気が変わる。
五人がずっと一緒にいられる時間は、もう当たり前ではない。
学校へ行けば会える。
同じ家にいる。
同じ日常に放り込まれる。
そういう近さが、少しずつほどけていく。
だから、ひと月に一度、五人で集まる日を作る。
五つ子の日。
名前がかわいい。
でも、やっていることはけっこう切実です。
近いから会うのではない。
離れるから、会う日を決める。
ここが強い。
いや、強いというより、少し胸の奥に紙の端が残る。
予定を書いたカレンダーの端。
何度も見返して、少しだけ丸が濃くなるあの感じ。
五等分の花嫁【春夏秋冬】:
春場ねぎ完全監修の完全後継小説をTVアニメ化する新企画
小説はあさのハジメが執筆
高校3年の1月から卒業後の12月まで、五つ子たちの新たな1年間の日常を描く
コミカライズ企画も進行中
ほぼ15巻という言い方が、いい意味でずるい
講談社の小説紹介を見ると、『春夏秋冬』は五つ子たちの1月から12月までの日常を描く物語として置かれている。
これを「ほぼ15巻」と受け取れる位置にあるのが、だいぶ危ない。
本編は終わっている。
だから勝手に15巻とは言えない。
でも、14巻のあとにまだ手ざわりが残っている。
ほぼ。
この曖昧さがいい。
完全な続巻ではない。
ただの番外編でもない。
原作の後ろに、そっと差し込まれる季節の束。
ページをめくるというより、閉じた本のあいだから押し花が出てくる感じがある。
押し花。
やめろ。
五つ子に季節を挟むな。
いや、挟んでください。
新作OVAは、過去を埋めるだけではない
同時に発表された新作OVAも重要です。
公式発表では、これまでのアニメシリーズで描かれなかった原作エピソードを新たにアニメ化するとされています。
ここも単なる補完ではない。
アニメは、どうしても時間を削る。
全部は入らない。
恋の大きな流れ、転機、結末へ向かう線を優先すると、日常の小さなやり取りが映像の外へこぼれる。
でも『五等分の花嫁』は、その小さなやり取りがかなり大事です。
一花の余裕の揺れ。
二乃の強がりの奥の甘さ。
三玖の小さな決意。
四葉の明るさに混じる痛み。
五月の真面目さと食欲のやわらかさ。
大きな告白より、何気ない一言でその子が残ることがある。
OVAは、こぼれた場面をただ拾うだけではない。
一度文字とコマで覚えた細部を、もう一度、声と息へ戻す。
ここがかなり楽しみです。
新作OVA:
これまでのアニメシリーズで描かれなかった原作エピソードを新たにアニメ化する企画
具体的な収録エピソード、話数、公開時期などは今後の発表待ち
春夏秋冬は、五人を減らす言葉ではない
『五等分の花嫁』は、ずっと「5」の作品だった。
五つ子。
五等分。
五人の違い。
五人のうち誰なのか。
そこへ、春夏秋冬という「4」の言葉が来る。
五人の物語なのに、四季で包む。
このズレがいい。
五人を一人ずつ季節に割り振る話ではない。
春夏秋冬は、五人を入れる器です。
春の空気。
夏の汗。
秋の乾いた匂い。
冬の白い息。
その中で、五人が会う。
会えない日もある。
忙しくなる。
それでも、集まる日を作る。
人数の五等分から、時間の五等分へ。
この移り方がきれいです。
きれいだけど、少し寂しい。
寂しいけど、ちゃんと甘い。
砂糖菓子の表面に、ほんの少しだけ冬の冷たさがある。
恋の答えのあとに、姉妹の時間が残る
『五等分の花嫁』は、花嫁が誰なのかという問いで走ってきた作品です。
だからどうしても、選ばれた人、選ばれなかった人、恋の決着という話になりやすい。
でも『春夏秋冬』で前に出るのは、そこだけではない。
むしろ、答えが出たあとに五人がどう五人でいるのか。
ここ。
ここが見たい。
同じ家にいるから姉妹なのではない。
同じ学校にいるから五つ子なのではない。
別々の時間が始まっても、会う日を作る。
それぞれの生活を持ったまま、また五人に戻る。
この戻り方に、たぶん本編とは違う湿度がある。
恋の物語は、誰かを選ぶ。
姉妹の物語は、選ばれなかったものも抱えたまま続く。
この差が大きい。
キャストの声は、五人をもう一度立たせる
アニメ版の『五等分の花嫁』で、声はかなり大きい。
五つ子は同じ顔を持つ。
原作では、髪型、表情、台詞、間で違いが出る。
アニメでは、そこに声が入る。
声が入ると、記憶の場所が変わる。
一花の余裕。
二乃の刺さる強さ。
三玖の低い熱。
四葉の明るさの奥。
五月の真面目なやわらかさ。
耳が先に覚えている。
シリーズ主要キャスト:
上杉風太郎:松岡禎丞
中野一花:花澤香菜
中野二乃:竹達彩奈
中野三玖:伊藤美来
中野四葉:佐倉綾音
中野五月:水瀬いのり
だから新作アニメプロジェクトのPVは、ただの告知ではない。
五人の声が、またこちらの記憶の中で席順を作り始める。
春夏秋冬という1年の器に、声が入る。
それだけで、カレンダーが少し人の温度を持つ。
終わった物語を伸ばす不安もある
もちろん、不安もあります。
完結した作品は、完結したから強い。
余白があるから、受け手の中で続く。
あまりに何度も新しい話を足すと、その余白が説明で埋まってしまうこともある。
これはかなり大事な怖さです。
でも今回の発表は、そこを少し違う形にしている。
『春夏秋冬』は前へ進む。
新作OVAは原作の未映像化部分へ戻る。
前へ。
後ろへ。
同じ日に、両方が置かれた。
これがいい。
終わった物語を無理に引き伸ばすというより、閉じた本の前後に残っていた紙片を拾う感じがある。
未来の1年を足す。
過去のこぼれた場面を戻す。
ただ足しているのではない。
余白の置き場所を変えている。
五等分は、人数から時間へ移る
今回の新作アニメプロジェクトで見たいのは、情報量の多さではない。
放送時期。
話数。
OVAの収録エピソード。
もちろん全部気になる。
でも、いちばん気になるのは、五人がどう時間を持ち寄るのかです。
会えた日。
会えなかった日。
予定を合わせた日。
少し大人になって、でも五人でいる日。
毎日一緒にいた関係が、約束でつながる関係になる。
これは、思ったより大きい変化です。
自然に続いていたものを、続けると決める。
そこには、少しだけ手間がある。
手間があるから、甘い。
五等分の花嫁は、花嫁の答えで終わった。
でも五つ子の時間は、まだ少しだけ折り目を残していた。
その折り目を、春夏秋冬がそっと開く。
五人で1年を分ける。
そのカレンダー、たぶんかなり濃い匂いがする。