イリオス、名前が強すぎる。
黒陽竜。
この字面だけで、もう前に出る顔をしている。
黒い太陽。
竜。
いかにも盤面の中央に立ちそうな名前です。
なのに、実際の仕事はそこじゃない。
3体の大型ドラゴンを相手に見せる。
自分は手札から出る。
そのあと墓地へ送られて、本命のドラゴンに対象耐性を渡す。
主役顔のくせに、主役を通す側。
ここが本当に変(褒め言葉)。
黒陽竜イリオス:
『遊戯王OCG』のモンスターカード
レベル4・闇属性・ドラゴン族
攻撃力1500/守備力0
Vジャンプ2026年6月特大号の付録カードとして登場
EXデッキの攻撃力3000以上のドラゴン族3体を相手に見せて特殊召喚できる
墓地へ送られた場合、ドラゴン族の融合・シンクロ・エクシーズ・リンクモンスター1体に対象耐性を与える
名前はエース、仕事は露払い
公式の公開は2026年4月7日。
Vジャンプ6月特大号の付録カードとして《黒陽竜イリオス》が紹介された。
この時点で見るべきなのは、「強いか弱いか」だけではない。
もちろんそれも大事。
カードゲームなので。
でもイリオスの面白さは、点数表より先に動き方で来る。
まずEXデッキから、攻撃力3000以上のドラゴン族モンスター3体を相手に見せる。
しかも同名カードは1枚まで。
この条件がかなり良い。
隠して出てくるのではない。
自分のデッキにはこういうドラゴンがいます、と一度見せる。
切り札の顔ぶれをちらつかせる。
そのうえで、小さいイリオスが手札から出てくる。
大きいものを見せて、小さいものが出る。
この縮尺のズレが好きです。
3体を見せる条件が、ただのコストではない
攻撃力3000以上のドラゴン族:
遊戯王では攻撃力3000が大型・切り札級の目安として扱われやすい数値
イリオスはEXデッキからその条件を満たすドラゴン族3体を相手に見せる
同名カードは1枚まで
融合・シンクロ・エクシーズ・リンクなど、召喚法は固定されない
攻撃力3000以上のドラゴン族を3体。
この数字、ただの条件ではない。
デッキの思想を見られている。
青眼方面なのか。
レッド・デーモン方面なのか。
ヴァレット、ドラゴンリンク方面なのか。
あるいは別の大型EXドラゴンを抱えた構築なのか。
3体を相手に見せるということは、デッキの奥にある「通したいもの」を一度提示することでもある。
ここが妙に儀式っぽい。
俺の切り札はこれです。
このドラゴンたちを通すために、まずイリオスを置きます。
そういう順番になる。
これ、カード1枚の特殊召喚条件としてはかなり語り口が強い。
条件が説明で終わらず、構築の見せ方になっている。
墓地へ行ってからが本番なの、かなり好き
イリオスは出てきて終わりではない。
むしろ、墓地へ送られてから本題に入る。
自分フィールドのドラゴン族の融合・シンクロ・エクシーズ・リンクモンスター1体を対象にして、このターン相手の効果の対象にできなくする。
しかも、この発動に対してお互いは効果を発動できない。
ここがいやらしい。
いい意味で。
耐性を与える。
それ自体は分かる。
でも、耐性を与える行為そのものに横槍を入れさせない。
つまり、守りを通すための守りがついている。
二重底。
この細さが効く。
イリオス自身が場に残って、俺が強いですという顔をするわけではない。
墓地へ行く。
役目を渡す。
本命のドラゴンを通す。
主役を立てるために、自分は盤面から退く。
このカード、立ち位置の作り方がうまい。
Vジャンプ付録という見られ方も効いている
Vジャンプ2026年6月特大号:
2026年4月21日発売
『遊戯王OCG』付録カードとして《黒陽竜イリオス》を収録
公式VジャンプWEBでは、展開補助と対象耐性でドラゴン族をサポートするカードとして紹介
しかも、これはVジャンプ付録です。
パックの大量新規の中に混ざっているカードではない。
付録カードとして1枚に視線が集まる。
だからテキストの読み方も細かくなる。
攻撃力3000以上。
3体。
同名1枚まで。
墓地へ送られた場合。
チェーン不可。
対象耐性。
単語がひとつずつ、採用先会議を始める。
このカードは、公開された瞬間に「どのデッキに入るか」の話を始めさせる。
そこが良い。
最強です、終わり。
ではない。
弱いです、解散。
でもない。
どのドラゴンを見せる。
どこで墓地へ送る。
誰を守る。
この一手で何を通す。
考える場所が残っている。
万能札ではなく、通すための札
ここで大事なのは、イリオスを万能札として見すぎないこと。
何にでも入る。
雑に強い。
引けば勝つ。
そういうカードではない。
EXデッキに大型ドラゴンを3種用意する必要がある。
守れるのはドラゴン族の融合・シンクロ・エクシーズ・リンクモンスター。
付くのはそのターンの対象耐性。
破壊耐性でも、完全耐性でもない。
かなり限定されている。
でも、その限定があるから面白い。
イリオスは、どこにでも敷ける便利なカーペットではない。
ドラゴンの本命を通すために、細い橋を一本かけるカードだ。
その橋をどこにかけるか。
誰を渡すか。
渡したあと、何を残すか。
ここにデッキ構築の気持ちよさがある。
主役を立てるドラゴンという美学
イリオスの一番好きなところは、自己主張の強さと役割の控えめさが噛み合っていないところです。
名前は強い。
見た目も強い。
条件で見せるドラゴンも強い。
でも、仕事は「自分が勝つ」ではない。
本命を通す。
本命を守る。
そのために出てきて、そのために墓地へ行く。
この距離感が良い。
遊戯王のドラゴンは、どうしても主役の圧が強い。
大きい。
派手。
名前も効果も盤面も強い。
そこへ、黒陽竜という主役級の名前を持った小さなドラゴンが、主役を通すための札として来る。
これが刺さる。
黒陽竜イリオスは、盤面の王になりたいカードではない。
王を通すために、先に名乗るカードです。
3体を見せる。
1体を通す。
自分は退く。
この手順が美しい。
エースではない。
でも、エースを立たせるために必要な黒い光。
イリオスは、その位置にいる。