4月29日、毎年ちょっと迷う。
今日祝日か。
天皇誕生日だっけ。
いや、みどりの日では。
いやいや、昭和の日です。
この混乱、かなり生活に根を張っている。
カレンダーを見れば答えは出る。
2026年4月29日は水曜日。
国民の祝日「昭和の日」。
でも、そこで終わらない。
終わらないから、毎年のように引っかかる。
4月29日は、日付としては動いていない。
なのに名前だけが何度も変わってきた。
天皇誕生日だった。
みどりの日だった。
いまは昭和の日。
日付は同じ姿でそこにあるのに、呼び名だけが違う服を着て出てくる。
そりゃ迷う。
2026年4月29日:
水曜日
国民の祝日「昭和の日」
現在の天皇誕生日ではない
現在の天皇誕生日は2月23日
現在のみどりの日は5月4日
いまの答えは簡単。でも記憶が簡単ではない
まず答えだけ言うと、2026年4月29日は休みです。
ただし、天皇誕生日ではない。
昭和の日です。
ここまではすぐ確認できる。
問題は、頭の中に別のカレンダーが残っていることです。
昭和の頃を知っている人には、4月29日は天皇誕生日として残っている。
平成のある時期を強く覚えている人には、4月29日はみどりの日として残っている。
最近のカレンダーだけで見ている人には、最初から昭和の日。
同じ日付なのに、世代や生活の時期によって名前が違う。
ここがややこしい。
ここが面白い。
祝日は法律で決まる。
でも、人間は法律の条文で休みを覚えていない。
学校が休みだった。
会社に行かなかった。
家族で出かけた。
朝、少し遅く起きた。
そういう身体の記憶で覚えている。
だから、4月29日は「名前の正解」を聞いているようで、実は自分の記憶の更新を確認している日でもある。
4月29日は、残るために名前を変えた
4月29日の面白さは、なくならなかったことにある。
昭和天皇の誕生日だった日。
その後、天皇誕生日は別の日へ移った。
では4月29日は平日に戻ったのか。
戻っていない。
みどりの日になった。
さらに、昭和の日になった。
消えたのではない。
名前を替えて残った。
4月29日の変遷:
昭和天皇の誕生日に由来する日付
戦後は長く「天皇誕生日」
1989年から2006年までは「みどりの日」
2007年以降は「昭和の日」
みどりの日は現在、5月4日
この変わり方が、妙に引っかかる。
普通、名前が変わると過去の名前は薄れていく。
でも4月29日は、過去の名前がかなり残っている。
天皇誕生日だったこと。
みどりの日だったこと。
昭和の日になったこと。
全部がうっすら重なっている。
ひとつの日付に、三つくらいの記憶が乗っている。
カレンダーの小さなマスに、情報量が多い。
こういう日付、けっこう好きです。
生活の中に制度の跡が残っている感じがする。
昨日まで普通に使っていた道の下に、昔の線路が埋まっているみたいな感じ。
見えない。
でも、たしかに残っている。
昭和の日は、ただの懐古ではない
昭和の日という名前は、どうしても懐かしさを呼ぶ。
昭和のテレビ。
昭和の家電。
昭和の街。
昭和の歌。
昭和レトロ。
わかる。
この言葉の吸引力は強い。
でも、昭和の日を「昔を懐かしむ日」だけにすると、少し薄くなる。
昭和の日:
毎年4月29日の国民の祝日
昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす日
現在の天皇誕生日ではない
昭和天皇個人の誕生日だけを祝う日でもない
「顧みる」という言葉が大事です。
祝う、では少し違う。
懐かしむ、だけでも足りない。
顧みる。
後ろを見る。
でも、後ろだけを見て終わらない。
将来に思いをいたす。
昭和という時代は、雑に美化できるほど軽くない。
戦争があり、敗戦があり、復興があり、高度経済成長があり、生活の形が大きく変わった。
明るい記憶だけでもない。
暗い記憶だけでもない。
だから昭和の日は、懐かしいね、で終わらせるには少し重い。
休みの日なのに、少しだけ立ち止まらされる。
この感じが4月29日にはある。
みどりの日が5月4日に移ったのも、地味に効いている
4月29日の話をするとき、みどりの日を脇に置きすぎると読みが浅くなる。
みどりの日は、ただ消えたわけではない。
5月4日に移った。
これがけっこう大きい。
みどりの日:
現在は毎年5月4日の国民の祝日
自然に親しみ、その恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ日
1989年から2006年までは4月29日
2007年から5月4日へ移動
5月4日って、もともとゴールデンウィークの中で不思議な位置にある。
5月3日が憲法記念日。
5月5日がこどもの日。
その間にある。
連休の中の、谷間みたいな日。
そこへ、みどりの日が入った。
すると5月4日は「なんとなく休み」ではなく、ちゃんと名前を持った休みになる。
4月29日は昭和の日として時代を見る。
5月4日はみどりの日として自然を見る。
どちらもゴールデンウィークの中にあるのに、見ている方向が違う。
時間を見る日。
自然を見る日。
この分担、地味だけどよくできている。
2026年のゴールデンウィークは、途中に平日がある
実用の話もしておく。
2026年4月29日は水曜日で、昭和の日。
でも、4月30日と5月1日は祝日ではない。
ここ、間違えやすい。
2026年の並び:
4月29日(水)昭和の日
4月30日(木)平日
5月1日(金)平日
5月2日(土)土曜日
5月3日(日)憲法記念日
5月4日(月)みどりの日
5月5日(火)こどもの日
5月6日(水)休日
つまり、4月29日から5月6日までが全部自動で祝日になるわけではない。
4月29日に一度休みが来る。
そのあと平日が二日ある。
そして5月のまとまりが来る。
カレンダーとしては、少し段差がある。
この段差が、4月29日の単独感を強める。
ゴールデンウィークの入口ではある。
でも、巨大な連休にそのまま溶けるわけではない。
先にぽんと置かれる祝日。
その名前が昭和の日。
ここにも、少しだけ「残っている日」の感じがある。
「今日祝日か」は、ただの実用ではない
もちろん、いちばん大事なのは実用です。
仕事はあるのか。
学校はあるのか。
銀行は開いているのか。
病院は通常通りなのか。
ごみ収集はどうなるのか。
生活は、祝日の名前より先に動く。
でも、4月29日の「今日祝日か」は、それだけではない。
この日付には、名前の履歴がある。
天皇誕生日だった記憶。
みどりの日だった記憶。
昭和の日としての現在。
どれかひとつだけを正解にして、ほかを全部間違いとして捨てるには、少しもったいない。
制度上の正解はある。
2026年4月29日は昭和の日。
現在の天皇誕生日は2月23日。
現在のみどりの日は5月4日。
でも、記憶の中では、昔の呼び名もまだ完全には消えていない。
そこが4月29日の変なところで、好きなところです。
カレンダーの小さなマスに、時代が残っている
4月29日は、ものすごく派手な日ではない。
でも、見れば見るほど妙な厚みがある。
天皇誕生日だった。
みどりの日だった。
昭和の日になった。
名前は変わる。
でも日付は残る。
ここが強い。
人は、カレンダーをただの日付表として使っている。
予定を書く。
休みを確認する。
連休を数える。
でも、その小さなマスには、制度の変更や時代の記憶が残っていることがある。
4月29日はまさにそれです。
今日祝日か。
そう思ってカレンダーを見る。
答えは、昭和の日。
けれど、その奥に天皇誕生日だった記憶も、みどりの日だった記憶も、まだ薄く残っている。
祝日は名前を変える。
生活はそれを少し遅れて覚える。
4月29日は、その遅れまで含めてカレンダーに残っている。