この文字列、正気の顔で並んでいるのがまずずるい。
「卑怯戦隊うろたんだー / ワンダーランズ×ショウタイム × KAITO【3DMV】」。
卑怯。
戦隊。
うろたんだー。
そこへワンダショ、KAITO、3DMV。
単語が全員、別々の方向から肩を組みに来ている。
しかもなぜか、全員ステージ中央へ出る気でいる。
プロセカに楽曲が追加された。
事実だけなら、それで済む。
でもこれは、済ませるには舞台袖がうるさすぎる。
プロセカでの追加:
プロセカ公式Xが2026年5月11日に「卑怯戦隊うろたんだー」追加を告知
追加時刻は同日15時
公式YouTubeで「卑怯戦隊うろたんだー / ワンダーランズ×ショウタイム × KAITO【3DMV】」を公開
本日15時より「卑怯戦隊うろたんだー」を追加🎶
YouTube:https://t.co/HVg6Ha4lzT#プロセカ #ワンダショ pic.twitter.com/YRB1XJSTYG
— プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク【プロセカ】 (@pj_sekai) May 11, 2026
「卑怯」が舞台の合図になっている
『卑怯戦隊うろたんだー』というタイトルは、普通に考えるとおかしい。
いや、普通に考えなくてもおかしい。
卑怯を名乗る。
戦隊の顔をする。
うろたんだーと叫ぶ。
きれいに整ったヒーローソングの顔をしながら、言っていることがだいぶ変。
ここが良い。
しかも今回の3DMVは、その変さを「ネタ曲です」と雑に札貼りして終わらせていない。
ちゃんとライトを当てる。
ちゃんとポーズを取らせる。
ちゃんと歌として立たせる。
ふざけているものを、ふざけたまま丁寧に扱う。
これ、かなり難しい。
茶化しすぎると薄くなる。
真面目にしすぎると息が詰まる。
その真ん中で、卑怯という言葉がスポットライトの合図みたいに鳴っている。
ワンダショが持つと、ネタがショーになる
ワンダーランズ×ショウタイムがこの曲を持つと、妙に納得してしまう。
ワンダショは、勢いだけで笑わせるというより、勢いを舞台に変える。
幕を上げる。
照明を当てる。
体の向きをそろえる。
客席へ見せる。
だから「卑怯戦隊」という飛び道具が、ただの飛び道具で終わらない。
ステージの小道具になる。
旗になる。
決めポーズの理由になる。
冷静に考えると、卑怯戦隊を舞台でやるべきだったのかは分からない。
でも、見たら分かる。
やるべきだったんだと思わされる。
この「分からないのに納得してしまう」感じが、ワンダショの強さだと思う。
楽曲情報:
曲名:卑怯戦隊うろたんだー
歌手名:シンP feat.KAITO、MEIKO、初音ミク
作詞・作曲:シンP
JOYSOUNDではカラオケ配信済み楽曲として掲載
KAITOがいると、ふざけた看板に芯が通る
そしてKAITOである。
この組み合わせでKAITOがいると、急に背筋が通る。
いや、題名は『卑怯戦隊うろたんだー』なのだけど。
背筋の通った卑怯。何それ。好き。
KAITOの声は、こういう冗談めいた熱を軽くしすぎない。
派手な言葉を歌っても、どこかに歌としての芯が残る。
変な看板を掲げていても、マイクの前にちゃんと立っている。
だから、ワンダショのにぎやかさとKAITOの声が並ぶと、ただの悪ふざけでは終わらない。
全員が、真面目にふざけている。
ここがいちばんおいしい。
ふざけて逃げているのではなく、ふざけるために真面目に立っている。
古い掛け声が、今の3DMVでまだ鳴る
『卑怯戦隊うろたんだー』という名前には、昔の動画サイトのざわつきがまだ残っている。
説明より先に掛け声が来る。
正しさより先に勢いが来る。
なぜか分からないけれど、今この場にいる全員で面白がってしまう空気がある。
その熱を、2026年のプロセカ3DMVがきれいな照明で照らしている。
画面は今のものだ。
キャラクターは動く。
カメラは回る。
演出は整っている。
でも鳴っている掛け声は、どこか昔のままだ。
ここが効く。
懐かしいだけではない。
昔の冗談を今の技術で磨いた、というだけでもない。
あの種類の勢いは、まだステージに立てるのか。
今の光の中で、まだ声を出せるのか。
その問いに、動画がかなり元気よく答えている。
ちゃんとおかしいから、ちゃんと残る
ネタを扱うとき、いちばんもったいないのは、最初から「ここで笑ってください」と札を貼りすぎることだと思う。
笑う場所を全部指定されると、こちらが勝手に困惑する余白が消える。
勝手にうれしくなる時間が消える。
「何を見せられているんだ」と手が止まる、あの数秒がなくなる。
今回の3DMVは、そこを奪わない。
タイトルは強い。
言葉はおかしい。
でも、作りは逃げていない。
だから、ちゃんとおかしい。
これは褒め言葉です。
変なものが変なまま、見せ物として立っている。
ふざけているのに、作り手がふざけて雑に逃げていない。
そのせいで、笑ったあとに少し残る。
卑怯。
戦隊。
うろたんだー。
ワンダショ。
KAITO。
3DMV。
この並びは、見出しの時点でもうライトを浴びる気でいる。
ヒーローポーズを決める気でいる。
客席のざわめきを、正面から受ける気でいる。
古い掛け声は、まだ鳴る。
それも、現代のきれいなステージの真ん中で。
スポットライトの中で、卑怯の二文字がやけにまぶしい。